「健康」と「気」を考える【1】
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(中村天風先生 編)
◾️「気」って何なの?
「気」という言葉は、私の記憶ではドラゴンボール以降から世間でも普通に使われるようになってきた印象ですが、それ以前は「すごく怪しいオカルト」扱いだったのを覚えています。
この「気」とは目に見えない存在なので、それ故に解釈が人によって様々分かれるわけですが、ところがよくよく見てみると、日本人は日常的にこの「気」を含んだ言葉をたくさん使っていることに気づかされます。例えば…
・やる気
・元気
・病気
・平気
・根気
・景気
などが挙げられます。
また、慣用句としても、
・気が合う
・気が効く
・気が置けない
・気が長い、短い
・気が晴れる
など、このように日常会話の中に「気」という言葉が自然と溶け込んでいます。
しかしこれだけ使われているにも関わらず、『じゃあ「気」って何なの?』と問われても、なかなか明確に答えられません。私は子どもの頃から、この不思議な言葉の存在に疑問と魅力を感じるという変わり者でした。
◾️「気」と中村天風先生
ところで、メジャーリーガーの大谷翔平選手にも影響を与えたと言われる、中村天風(なかむらてんぷう)という方をご存知でしょうか? 日本におけるヨーガ哲学指導者のパイオニアです。
天風先生は「健康」と「気」について、非常に分かりやすい比喩を用いて説明を残されています。本日はその中の1つ、「電化製品」の例えをもとに、健康の捉え方について考えてみたいと思います。
◾️「電化製品」で考える健康の仕組み
まず、頭の中に「扇風機」をイメージしてみてください。複数の羽が回転して涼しい風を送り出す、この扇風機を「私たちの体」と仮定して話を進めます。
扇風機は長く使っていると正面の網にホコリが溜まり、それを放置すると風の勢いが弱くなりますよね。
だから時々「ホコリを掃除」して、再び快適な風を取り戻します。このホコリ掃除を「日々の健康管理」と捉えることができます。
また、扇風機は時々「故障」することもあります。その場合には「修理」が必要です。これが「病院での診察や治療」に相当します。
私たちは日々、体をメンテナンスし、必要があれば修理を行いながら健康を維持しています。
ですが、「これだけでは健康を保つために必要な要素が一つ欠けている」と、天風先生は指摘しています。
では、それは一体何でしょうか?
◾️扇風機を動かすもの
ここで少し考えてみてください。
先ほどイメージした扇風機ですが、「電源コードがコンセントに繋がっている」または「内蔵されているバッテリー」のことまで想像できていたでしょうか?おそらくそこまでイメージしていた方は少ないと思います。私も最初そうでした。
電化製品を動かすためには「電気」が必要なのは皆さん当然ご存知です。字のごとく「電の気」です。プラグをコンセントに差し込み、電気が流れ込んで初めて扇風機は機能します。
天風先生は、この「電気」を「気」に例えています。
たとえ最新型の扇風機であっても、電気がなければ動きません。同じように、どれだけ体を整えても、私たちを動かす「気」が弱ければ、そのパフォーマンスを十分に発揮することはできないのです。
◾️「気」と「体」のバランスが健康を作る
この例えから何が言えるでしょうか?
私たちは「体の健康管理や病気の治療」には意識を向けますが、自分自身を根本から支える「気」のメンテナンスをおろそかにしがちです。
天風先生は、「意気揚々とした積極的な気持ち」こそが、健康の維持において欠かせないと説かれています。前向きで充実した「気」を持つことで、体のメンテナンスがさらに効果的になるというわけです。
ですので、食事や運動、医療のサポートに加え、日々の生活で「自分の気を高めること」に意識を向けてみて頂ければと思います。
それは例えば「楽しい目標を持つ」ことや、「日々感謝の気持ちを育む」ことなど、何でもいいです。それらの前向きなイメージが「気」を整え、真の健康へと繋がる何よりの第一歩になります。
「健康」と「気」の関係を扇風機と電気の例えで考えることで、体と心の両方を意識する大切さに気づくことができます。
と、ここまで考えてみると「病は気から」とはよく言ったもんだし、そこには色んな意味が含まれているのだなぁと、古くから伝わる言葉に尊敬の念を送らずにはいられません。
どうかあなたも、この「気」を意識して日々を過ごされてみてください。それがきっと、新しい健康への扉を開いてくれるはずです。もっと気持ちを電気のようにバチバチッ!とスパークさせて、自分なりの「元気玉」を少しずつ育てていきましょう(^^)
お読み下さり、ありがとうございました。